省エネルギー

電力を削減するには

別ページで紹介した二次冷却システムを導入すれば、それだけですでに堆積物による伝熱抵抗、 摩擦抵抗の増大に起因する電力の余分な消費が削減されます(「冷却水系の障害」を参照)。
しかしそれ以外にも、冷却水の温度設定、必要なポンプ能力、熱負荷変動、クーリングタワー能力の季節変動などに対する配慮により、多額の電力費を削減することができます。

チラーの電力消費の見直し

金型冷却水や温調機用冷却水としてチラー水が広く利用されています。
しかし、以下のように細かく検証すると、必ずしもチラー水が必要な場合ばかりとは限りません。

●金型温度が40℃程度の成形には35℃程度の冷却水で冷却が可能です。
35℃以上の温度の冷却水はチラーよりもはるかに電力消費の少ないクーリングタワーによって得られることができます。

●金型温度が40℃よりも低く、チラーが必要な場合でも、設定温度を見直すことで電力消費を少なくすることが可能です。

●低すぎる温度の冷却水を用いるよりも、充分な量の冷却水を維持するほうが大切です。

●必要な冷却水温度や外気温に応じて、チラーとクーリングタワーを自動的に切り替える省電力運転も導入することができます。

クーリングタワーの能力の季節変動

クーリングタワーの冷却能力は、気温や湿度の影響を受けます。
【Fig-01】は山形、大阪、宮崎の月平均気温と大阪の最高・最低気温です。
平均気温は夏と冬では20℃以上の差があり、 1日の中でも昼間と夜間では8℃程度の差があります。
クーリングタワーでは、蒸発潜熱による冷却と、周囲空気との温度差による熱移動が起こります。
したがって、気温の低いときにはクーリングタワーの能力は気温が高いときよりも大きくなります(【Fig-02】)。
また、絶対湿度は夏と冬とでは10倍以上の差があるので、水の蒸発速度も季節によって異なります(【Fig-03】)。
周囲環境との温度差、蒸発速度のどちらも気温が低いほど大きく、 クーリングタワーの能力は冬期には夏期の2.4倍に相当するとされています。
冬期や夜間の気温の低い時期にはクーリングタワーへの送水量を減らし、条件によってはファンを停止してクーリングタワーの冷却能力を必要な水準に抑えれば、電力消費の節減をすることができます。

  • 【Fig-01 各地の月別平均気温と大阪の最高・最低気温】
  • 【Fig-02 クーリングタワーの能力の季節変動(温度差による冷却】
  • 【Fig-03 クーリングタワーの能力の季節変動(蒸発による冷却】

ポンプ能力の見直し

ポンプが不必要に大きな能力を備えていると、無駄な電力を消費することになります。
過剰な能力のポンプが選ばれる理由には将来の負荷増加に備えてのことだと考えられますが、 大きなポンプを使い続けると常に余分な電力を消費しています。性能を制御できるインバータポンプを利用すると、このような無駄をなくし、将来の負荷増加にも対応することが可能です。
ポンプの所要動力は揚程×吐出量で決まります。
循環ポンプの場合、揚程は回転数の2乗に比例し、吐出量は回転数の1乗に比例するので、所要動力は回転数の3乗に比例します。
もしポンプの回転数を80%に落とせば、動力は0.8の3乗=0.512、すなわち半分近くに削減できます。
インバータポンプを用いずに流量を減少させる場合、通常はバルブを絞って流量を落としますが、
これは抵抗を増大させることになるので、流量は減少してもポンプの所要動力はそれほど低下しません。
以上の関係を【Fig-04】のグラフで検証してみます。初めのポンプの性能はA点で表されます。

【Fig-04 流量を0.4m3/minから0.3m3/minに減少させる場合のポンプ性能曲線(回転数制御とバルブ操作との違い)】

●回転数はそのままでバルブを絞る
回転数100%の性能曲線に沿って左上方へ移動します。流量が0.3m3/minになったとき抵抗は抵抗曲線2の値に増大しています(B点)。 バルブの抵抗のために揚程は増大し、流量が減少してもポンプの消費動力は12%減少するだけです。
●回転数を減少させる
ポンプの揚程は抵抗曲線1に沿って低下し、回転数を75%にしたときに流量は0.3m3/minになります(C点)。この時の揚程はA点の約56%です。 揚程と流量の減少によってポンプの消費動力は58%減少します。

電力コスト削減の事例

実際の事例によって、省電力の効果を比較してみましょう

■改善前冬季(10~4月)中間期(5・6月)夏期(7~9月)小計
チラー(80Hp)
60kWx1台
302,400kW
¥3,042,144
86,400kW
¥869,184
129,600kW
¥1,433,376
518,400kW
¥5,344,704
クーリングタワー(80Rt)
2.2kWx1台
11,088kW
¥111,545
3,168kW
¥31,870
4,752kW
¥52,557
19,008kW
¥195,972
ポンプ
5.5kWx2台
55,440kW
¥557,726
15,840kW
¥159,350
23,760kW
¥262,786
95,040kW
¥979,862
ポンプ
2.2kW*1台
11,088kW
¥111,545
3,168kW
¥31,870
4,752kW
¥52,557
19,008kW
¥195,972
年間合計電力費¥6,716,510
■冷却ユニット導入後冬季(10~4月)中間期(5・6月)夏期(7~9月)小計
クーリングタワー(80Rt)
2.2kWx1台
11,088kW
¥111,545
3,168kW
¥31,870
4,752kW
¥52,557
19,008kW
¥195,972
クーリングタワー用ポンプ
2.2kWx1台
11,088kW
¥111,545
3,168kW
¥31,870
4,752kW
¥52,557
19,008kW
¥195,972
ユニット循環ポンプ
2.2kWx1台
11,088kW
¥111,545
3,168kW
¥31,870
4,752kW
¥52,557
19,008kW
¥195,972
ユニット工場送りポンプ
3.6kW*1台
18,144kW
¥182,529
5,184kW
¥52,151
7,776kW
¥86,003
31,104kW
¥320,683
年間合計電力費¥908,599

●改善前
改善前には80Hpのチラー1台、80Rtのクーリングタワー1台、5.5kWのポンプ2台、2.2kWのポンプ1台で構成され、7℃の冷水を冷却に用いていました。年間の電力費は約6,720,000円でした。

●改善1:チラー設定温度を7℃から15℃に
チラー水温度の設定を7℃から15℃に上昇させました。これだけで年間1,680,000円電力費が節減されました(改善前の25%減)。

●改善2:冷却ユニットの導入
UWT冷却ユニットを導入しました。
この工場の金型温度ではチラーは必要ないため、冷却はクーリングタワーを用いた二次冷却に切り替えました。
将来の増設を考えて7.1kWの工場送りポンプを設置しましたが、現在の機械台数ではその1/2の能力で足りるので、インバータ制御によって3.6kWの出力で運転します。
これにより、年間約5,811,000円電力費が節減されました(改善前の87%減)。

●改善3:気温の変化に対応した制御
気温の変動を考慮したクーリングタワー能力の制御を行えば、さらに電力費が節減できます。
改善2の機器構成で、年間を通じて同じ条件で運転したときの電力費に対して、ポンプ回転数を冬期は70%に、 中間期は80%に制御すると電力費は大幅に減少します(【Fig-05】)。
昼間と夜間の温度による切り替えも実施すると、さらに節減額は大きくなります。

【Fig-05 クーリングタワーの能力制御による電力費の比較】

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2020年3月13日

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