逆浸透膜による高度浄化水

工業用純水の製造方法

工業用純水を製造する主な方法には、イオン交換樹脂方式、中空糸膜方式、逆浸透膜方式があります。

イオン交換樹脂方式の原理と問題点

イオン交換樹脂は、小さな球状をした合成樹脂です。
球体の内部にイオン交換基と呼ばれる多数の手を持っており、プラス、あるいはマイナスに帯電した交換基に、 イオン性の不純物を付着させて水中から除去する方法がイオン交換樹脂方式です(【Fig-01】)。
この方式の問題点として、以下の点が挙げられます。

●塵・砂・スライム・シリカのような非イオン性の物質、細菌やバクテリアを除去することはできない。

●効力がなくなった陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂は、再生すれば繰り返して使用できるが、大量の樹脂を必要とし、定期的なメンテナンスが必要。

【Fig-01 イオン交換樹脂方式】

中空糸膜方式の原理と問題点

ポリエチレンとポリプロピレンの化学繊維でできたマカロニ状の糸を熱にかけて引き伸ばすと、極小の穴が無数に重なった中空糸膜ができます。 これを数千本束ねてフィルタとし、水を濾過します。
壁面の微細な穴の大きさは0.1~0.01μmで、不純物・カビ・赤錆などを遮断し水を通す仕組みになっています(【Fig-02】)。
この方式の問題点として、以下の点が挙げられます。

●溶解している鉄分・重金属類・塩分・化学物質・農薬・細菌・バクテリアは、ほとんど除去できない。

●トリハロメタンなどの有機塩素化合物に関しても除去力が弱く、使用当初は多少除去できるが、使用しているうちに次第に能力が落ち、カートリッジの寿命が終わる頃には、 ほとんど除去することができなくなる。

●目詰まりを起こしやすく、蓄積された汚れが逆流したり、水量が減って通水できなくなる場合がある。そのため、頻繁にフィルター交換のメンテナンスが必要。

【Fig-02 中空糸膜方式】

逆浸透膜(RO膜)方式の原理と特長

逆浸透膜(RO膜)は、海水の淡水化を目的として開発された分離膜で、生物の細胞に近い、半透膜という薄い膜に水圧をかけ、その逆浸透作用によって汚染物質をろ過します。
浸透圧とは、膜を挟んで水が濃度の低い溶液から高い溶液に移行するときの圧力をいい、浸透圧の逆に圧力をかけ水を濾過する方法が、逆浸透膜方式です(【Fig-03】)。
逆浸透膜(半透膜)は、0.0001μmという超極小の穴を持っているため、水分子だけを通してそれ以外のほとんど物質を通しません。
特長として、以下の点が挙げられます。

●イオン性、非イオン性を問わず、あらゆる不純物を除去できる。

●スケールの原因になる炭酸カルシウムやシリカ・カビ・細菌・農薬・ダイオキシン・トリハロメタンなど、イオン交換式では除去できなかった不純物を取り除くことができる。

●イオン交換式の700倍以上の寿命を持ち、水道水を原水として用いた場合、1日に800Lから1,000Lの純水を4~5年間供給することが可能。メンテナンス費用と手間を大幅に削減する。

【Fig-03 逆浸透膜方式】

それぞれの方式の比較

以上のように、純水を生成する主だった方法を紹介しましたが、水の不純物を除去し、完全な純水を生成するには、性能・コスト・メンテナンスのすべての点で逆浸透膜(RO膜)方式が優れています。
この逆浸透膜方式を採用したのが、工業用純水製造装置RO-Water 800です。

イオン交換樹脂方式中空糸膜方式逆浸透膜方式
砂粒子×
人毛×
花粉×
カビ×
プランクトン×
細菌類×
ウイルス類×
農薬類××
ダイオキシン××
水銀××
砒素××
フッ素××
トリクロロエチレン××
トリハロメタン××
金属イオン×

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2020年3月13日

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